
毎日見ている木ですが、何という名の木か知りませんでした。
毎年実がなり、ふと気になって黒く熟した実を取ってみました。

それを剥いてみると、薄黄色い実の中に小さな種がギッシリ。
「これは
イチジクそっくりではないか!」と、恐る恐る味見をしてみました。
するとビックリ、結構甘くて味も
イチジクに近いものでした。

図鑑で調べるとちゃんと載っており、『
イヌビワ』という海辺の植物でした。
思った通り、イチジクの仲間でクワ科に属していました。『ビワ』と書いてもビワの仲間ではないです。
さすがに味も大きさもイチジクに劣りますが、たくさん集めてジャムにしたら美味しそうです。
ちょっと調べてみると、おもしろい特徴の木だと分かりました。
イチジクの仲間は、重要な役割を果たすハチがいます。それぞれの名に付けて、イチジクコバチ、イヌビワコバチなどと言います。
イヌビワは種子植物で、花があります。『実』と書きましたが、これは『花のう』といい、この中に小さく花が咲き、種のような物が果実だそうです。
では、
花粉はどこ? 受粉はどうやって?そこで活躍するのが『
イチジクコバチ』なのです。
時期が来たら、花のうの先が開き、ハチが入ります。
オスバチとの交尾を終え、飛べるメスバチが体中に花粉を付けて出ます。
そして産卵の為、他の花のうに行くのですが、ここからがよくできてます。
①雌花の花のうに入った場合長い雌しべがじゃまで子房に卵が産めません。しかし、イヌビワはハチが運んできた花粉で受粉して、種子ができます。
②雄花の花のうに入った場合ハチは容易に卵を産みます。
花のうで越冬します。
以上のように、イヌビワはイヌビワコバチに花粉を運んでもらい、イヌビワコバチはイヌビワに住まいを与えてもらいます。お互いなくしては生きれない共生なのです。
身近でこんな複雑な事が起こっているとは驚きです。
じっくり観察してみたいものです。
参考文献 : 小学館の図鑑NEO 植物